京極夏彦『幽談』

これはどうなんだろう…。
ボクは同著者の『旧怪談』をすでに読んでいるので、<(古来の)怪談を読む作法>みたいな読み方が多少なりとも感じられてるから受け入れられるけど…。


物語を読む人ってのは、大なり小なり<秩序の回復>を求めるものだと思うんですよ。
例えば<(現在の)怪談>のように、「〜〜の恨みで殺されました」とか「○○だったけど仏様の威光で救われました」とか「□□は昔古戦場だったので多くの霊が云々」とか、「それならまぁ受け入れられるかな・わかるかな」というトコロに落とし込みたい、納得したい、理解したい感情の動きがあると思うんですね。


でもこの作品はそれをきれいさっぱり放棄している。
たぶんこれを「よくわからないから解説してくれ」「納得できる説明を付けてみよう」っていうのは無作法なんです。
ただただ文章を受け入れて情景を思い浮かべ不思議がったり煙に巻かれたり怖がったりすればそれでいいんじゃないかと。


ただまぁボクがそうできるのは『旧怪談』で説明されてたからであって、いきなりこの本を読めっていうのは無理があるかなぁと思いますね(汗)。


そういう意味で連作でもないのに説明不足なのはちょっと問題かもしれません。
いきなりこの本をぽーんと渡されても「?????」ってなるんじゃないかなぁ。