FEの根幹システム

実際にやったのはSFCまでのFEですので間違いがあったら御免なさい。


FEは将棋です。しかも大元の将棋からゲーム性は劣化している。
ターン制で、相手の駒(ユニット)を除けて(倒して/奪って)、相手本陣を落とせば勝利。但しFEでは、相手の駒との接敵の結果に乱数が入ります。

将棋で相手の駒を取るときにサイコロの振り合いが発生するなら、それはほぼFEと変わらないゲームです。盤上に『通れないマス』とか作ればほぼ完璧ですね。


「乱数が発生する以上、ゲーム性は上がっているのじゃないのか」という向きもあるかと思われますが、私はそうは思いません。それはギャンブル性が上がっているだけですし、なにより、最後の1ユニットになったとしても、そこからの逆転が有り得るのです。

本来負けが確定する筈の処を、運で逆転してしまうのは、やはりゲームでは無くギャンブルでしょう。


それに<駒の強化>が可能なため、多くのプレイヤーはそのギャンブル性を消そうとしている。勝つか負けるか判らない状態で手は出さないでしょう。レベルや装備やスキルなどの『賭けに負けない準備/死なない準備』をしてから戦闘に望むはずです。

自分のターンでは必ず勝ち、相手ターンでは負ける心配の無い動きをするでしょう。それは結局将棋ではないですか。
しかも相手のターンですら、相手のユニットが攻撃してくれば勝利を得られる可能性が有る。というか勝てるようにしている筈です。ユニットが1つでも死んだら困るFEでは。どちらのターンであれ駒の勝敗で100%勝てる将棋。それは将棋よりもゲーム性は劣化しているのです。


また、ユニットの個体差も問題です。移動量の差はあれ、全員王将と同じ動きが可能です。ここでもゲーム性としては負けている。スキルだの武器だので幾ら差別化を測っても、結局接敵して100%勝つなら同じです。

移動の話から繋がって盤面の話ですが、FEのフィールドは完全に平坦です。<高い山>と書いてあろうが、それは単に進入不可な二次元マップです。
そしてそれを無視できる飛行ユニットは完全に将棋の駒です。

移動量に付いては、フィールドでの移動量減衰地形と合わせて考える訳ですが、実はこれも間合いの詰め方は将棋と同じです。相手の駒を取れるタイミングで詰める訳ですから。情報量が増えて煩雑になっているだけです。それはゲーム性とは言えません。ゲーム性ぽいモノ、です。

そしてここでも、他の駒を犠牲にしなければならない将棋よりも、相手のターンだと確実に駒が負けてしまう将棋よりも、ゲーム性は低下しているのがわかると思います。


FEは将棋を基本としながら、未だに(少なくともトラキア776までは)将棋を超えることも、将棋と違う方向にも進めていないただの劣化将棋に感じられるのです。

もちろん将棋に勝っているところもあります。移動封鎖と間接攻撃です。
将棋では相手の駒の進行方向の前に駒を置いても、移動を制限できる訳ではありません。ですがFEでは移動を制限させた上で、別の間接攻撃ユニットでその後ろからの攻撃が可能です。

FEの発明では無いのでしょうが、これは戦略的、ゲーム性において、将棋に上回っている部分です。ですがFEではそれが(移動制限地形のおかげで)やり易いにも拘らず、作を重ねるたびに、移動封鎖が出来ないようにしようとしている。壁ユニットの弱体化/喪失・攻撃力過多ユニット自体の壁化(回避壁)等で。

せっかくの将棋には無いシステムを消してどうするのか。


HEXを使った大戦略などのゲーム(これは消耗戦が多いけど)はスタックやZOCというシステムを使い、TOやFFTではターン制の廃止・高さの概念を取り入れる(FFTではせっかくTOで確立された高さの概念を潰しに掛かってるけど)等、シミュレーションは色々な基本システムを模索している。

変わらないことをウリにしているのかも知れないけれど、スキルや何かの表面をいじったところで、劣化将棋である根幹システムをいじらない限り、飽きられる一方でしかないと思います。