FF13の戦闘

FF13擁護派/楽しめてる派から珠に聞かれる、「戦闘は面白い」「オプティマ(チェンジ)が戦略的」ですが、
未プレイのボクが動画などを見て思うのは「ただ忙しいだけで取り立てて目新しいことやってないじゃん」です。
結局は補助かけて回復しつつ殴るだけ。
ガードブレイクに到っては、何年前から格ゲーにあると思ってるんだという感じ。


また、画像が綺麗にリアルになればなるほど、従来の「定位置→攻撃→定位置に戻る」が滑稽に映ります。
敵味方が横並びで殴りあう事もですね。


本論はそんなお話。FF13はそこまで関係ありません。



○戦略レベル
ここはRPGというジャンルが比較的得意にしているところですね。


敵がどんな攻撃をしてきてどの程度の強さかわかっている場合、
装備を最適化し(炎攻撃してくるならフレイムシールド装備とか炎が弱点ならフレイムソード装備とか)、
キャラクターレベルを上げて能力の底上げをし(命中率が低すぎて当たらない、攻撃力が低すぎてダメージが通らないなどを避ける)、
有効な職業、スキルや魔法を選択しておく。


大抵のRPGが実現している部分でありますが、ここの面白さはそこまで大きく『戦闘の面白さ』に直結しません。
どちらかというと『戦闘準備の面白さ』であり、逆に戦闘自体をつまらなくするための行為です。


意外に聞こえるかも知れませんが、勿論否定しているわけではなく、『死なないよう/負けないよう準備する』というのは、つまりは『ほぼ100%勝てるようにする』ということであり、勝ち負けのスリルを捨てる行為です。


リアルな戦争/戦闘においても戦略レベルで勝利してから開戦するのは当然のことですが、これはアクションを含まないRPGゲームの戦闘において、『目標でありつつゲームをつまらなくしてしまう一因になる』という困った要素でもあります。


FF12ガンビットはこの戦略レベルにおいて極まっている一例かと思いますが(昔書いた文章/CRPGという表現手段/FF12とゼノサーガ - おでんといえば大根)、このガンビットによって、とある隠しボスを一時間放置して倒したことの有る人には納得しやすいかと思います。
極まれば極まる程、準備段階で勝利が確定し、後は見てるだけとなってしまうのです。




○戦術レベル
では実際に開戦してからの面白さはどうなのか。
前述した通り、戦略レベルで勝利確定している場合はつまらない作業ですが、そうでない場合もRPGはすでに苦手な領域となっています。
補助魔法で強化し、攻撃し、回復し、時に蘇生するだけ――結局はこれしか出来ないRPGの如何に多いことか。


この分野に必要なのは『移動』の概念です。これが無い場合、戦術は無いに等しい。


そのためココが得意なのは、SLGやアクション(含FPS)となります。
SLGにおいてはFFTなどのターン制で無い物で顕著ですが、相手の行動順/移動量/攻撃範囲を予測した行動を取るという戦術性を要求されます。
(とはいえ、FFTはジョブシステムによって相手を戦略的に完封できてしまうのですが…)


アクションにおいては言わずもがなですね。
モンスターハンターなどをやればわかりますが、反射神経では無く、相手の予備動作を見て移動/回避し、死角から弱点部位を攻撃する。
FPSなどでも、遮蔽物に隠れるなど優位な場所を確保するために動く。


個人的には戦術レベルの面白さとしての最高峰にガンパレードマーチを挙げたいです。
ステップ数による行動順、射撃範囲、高低差、射線妨害、距離、これらのユニットサイズによる違い。
矢印で表されるユニットと立方体が重ねられただけのマップだけであれだけのリアリティを表現できるのは素晴らしいの一言に尽きます。


コマンド制RPGにおいても『移動』もしくは『立ち位置の変更』があれば、ずいぶん面白くなると思うんですけどね。
それによって何人かは相手の側面や後背が取れたり、範囲攻撃/魔法の有効範囲から外れたりできる。
いつまで横一列に並んで範囲攻撃を食らう戦闘をやらせ続けるんですかね。


これは実は存在しないわけではなくて、ロマサガ2/3では陣形と言う形で横並びの戦闘に意義を持たせようとしていますし、サガフロ1/2においても敵味方をある程度ランダムに配することで範囲攻撃が無条件に全員に届いたりしないようになっています。
ライブアライブのマス目戦闘も移動を意識したものでしょう。
スクウェア製品ばかりなんですが、FFは13にもなって何してるんでしょうかね…。


また、アクションRPGではありますが、ラジアータ――評判悪いですがボクは高評価(昔書いた文章/ラジアータストーリーズ - おでんといえば大根)――の戦闘は、プレイヤーの操作キャラを含む味方NPCとの陣形があって、プレイヤーがどこにどう動こうとその陣形を維持しつつ戦闘する素晴らしいシステムです。
□の形を維持する4人陣形で敵を囲んで殴ることもできれば、プレイヤーだけが後ろに下がって味方NPCを攻撃&壁として戦闘することも出来る。しかもその間走って逃げ回っててもいい。
そこには戦術性というものが発生しています。


RPGの戦闘の面白さ』はこの戦術レベルでの面白さの比重が大きいのですが、個人的には「アクションに向かうしかないのではないか」とずっと思っていました。
国内ではモンスターハンターが大ブレイクしたり、国外ではFPSFallOut系がブレイクしたり、ボク以外にも似たように思ってる人は多いと思うのです。
現在は、ガンビット+シームレスのFF12にコマンドRPGの光明を少し見ていますが。


(ボクはガンパレシリーズでオーケストラからアクションになった理由は何となくわかる気がします。戦術行動を行おうとした場合、やはりアクションは優秀な表現手段です。)




○戦闘レベル
戦闘における最小単位ですが、これはもうコマンドRPGにおいてほとんどプレイヤーが手を出せない領域です。
『たたかう』を選んだら当たるかどうかはもうCPU任せでしかなく、出来ることといえば「どのスキル/魔法を使うのか」ぐらい。
それすらも戦略部分で考えて用意されたものであり、意思決定はほぼすでに織り込み済みのはずです。


意思決定といえば、ゲームを語るならコスティキャンぐらいは読んでおきましょう。
もうこれは基本中の基本の文章です。
ボクも色々読んでるわけではないし偉そうな事は言えませんが、最低限のレベルです。
コスティキャンのゲーム論


ここが得意なのは、もうアクションぐらいのものです。
どのタイミングで行動するか、その行動を正確に操作できるか。
ゲーム内ではなくプレイヤースキルに還元されてしまうレベルです。


冒頭のFF13の戦闘はほぼこれです。手が忙しい。
これは戦略性があるとは言わないのです。操作技術と閃きがある程度必要なだけ。
閃きとはいえこれも戦略レベルで織り込み済みの選択肢から選ぶ程度ですから、どちらかというと『思い出すかどうか』ぐらいですね。
『連射してるだけ』という揶揄は、『一本道』と同じく単純化された言葉なだけで、別に「○連射してるだけ」という意味ではないでしょう。
「織り込み済みの行動をそれなりの速度で繰り返すだけ=戦略性(正確には戦略性ではないですが)なんてないよ」ということだと思います。


ではコマンドRPGに出来ることはないのか。アクションもしくはFF13のようなアクションもどきにするしかないのか。


ボクはFallOut3のV.A.T.Sのようなもので多少は解消できるのではないかと思っています。

V.A.T.S.
正式名称「Vault-Tec Assisted Targeting System」。
このゲームにおいての戦闘は基本的にFPSのシステムなので、FPSが苦手な人への配慮としてこのシステムが導入された。
主人公の腕に装着された「Pip-Boy3000」が持つ固有の機能で、戦闘時に敵への攻撃箇所を部位レベルにまで絞込み、正確無比な攻撃を行うシステム。
ゲーム内において「V.A.T.S」の使用中は時間が止まり、敵との距離や位置関係で部位ごとの命中率が%表示、指定した箇所へ攻撃を行うと専用のモーションが発動する。
従来のRPGの「コマンド選択方式の戦闘」をFPS寄りにした形に仕上がっている。
攻撃するにはアクションポイント(AP)が必要で、武器によってAPの消費量が異なる。減ったAPは時間の経過・特定アイテムの使用などで回復する。
V.A.T.S.中に敵を倒すとAPが全回復するPerksもある。
設定上Pip-Boy3000は左腕に神経接続されているため、反射神経と脳の思考速度に影響を与えているものと思われる。


Wikipedia FallOut3 からの引用。


特に先述の『移動』と合わせれば、アクションに近い形でのコマンド戦闘が可能ではないのかと思います。
ターン制では微妙ですが、FFお得意のATBと合わせれば尚更、『移動による敵行動からの回避→敵行動失敗時に自分のターン→V.A.T.Sで時間が止まる(攻撃モーションで固まってるとか)→無防備なところに大ダメージ』とか。


実はこれもFF12ガンビットがすでに近いことをやってるんですよね。
普段はガンビットによるオート戦闘だけれど、緊急時に手動コマンドで割り込んでガンビットに無い行動をする、みたいな。




○ぼくのかんがえたさいこうのえふえふ・ふたたび
コマンドRPG戦闘を面白くするにはどうするか。
不満だけ挙げても仕方ないですし、一応「ボクが思う」面白い形を書いておきます。
万人に受け入れられるものだとは思っていませんし、「FF13より面白いはず」とも思いません。
飽くまでボクが開発限界、予算度外視で最高のコマンド戦闘を作るならっていう妄想な話ってだけです。


まぁほとんどすでに書いてるのでまとめみたいな感じで。
シンボルエンカウント。ただしシームレス。ジャンプできたりするとなお良し。
・シームレスにしろ画面切り替えにしろ、戦場に遮蔽物や高低差があるとベスト
・戦略レベルにおいてはFF12ガンビットラジアータの陣形
・戦術レベルにおいては移動の概念を
・同時に攻撃範囲/射線妨害/高低差/距離を移動にも攻撃にも影響させること
・ターン制ではなくATB
・コマンド制だから戦闘にプレイヤーの操作スキルを求めない。アクションに近づけるがその瞬間瞬間はV.A.T.Sのようなシステムで区切る


こんな感じでしょうか。
どう考えてもアクションにしたほうが早いですね(汗)。


ですがJRPGの良いところであり悪いところでもある「誰でもクリアできるRPG」だからこそ、安易にアクションにしてしまわず、アクションしてるようにコマンド戦闘できる形を目指すのがいいと思うのです。


所詮過疎サイトで単なる一プレイヤーの垂れ流す妄想ですが、上記や上記を鼻で笑い飛ばすようなシステムが出てきて、面白いJRPGが続いていくことを願っています。