「何だこの数年前の火曜サスペンスみたいな無意味な長ったらしいタイトル」
「センスのカケラもないですよね」
「うむ。って誰だお前」
「あなたこそ誰です」
「偉そうに<感想>だの<批評>だのと語るのが憚られるので逃げを打ったみたいだね。ちきん、ってヤツか。ぺっ。」
「急に出てくるんじゃねぇ。さらに女の子がそんな言葉遣いするんじゃねぇ。あまつさえ唾吐くんじゃねぇ」
「うぁ。なんて時代錯誤なおっちゃん。すりつぶされるよ?」
「俺はオニイサン、だ。それと誰に何をすりつぶされるんだよ。」
「聞かないほうが良くないですか」
「オニイサンはスルーか。まぁ確かに聞かないほうがいいか。嬉しそうだコイツ」
「聞けば良かったのに…ところであたしは誰」
「知るか」
「知りませんよ」
「大体なんで急にこんな対話形式なんだよ」
「あぁ、それは…」
「それは?」
「やってみたかっただけのようです」
「そうか…」
「えぇ…」
「…」


「ぺっ」×3




AIR
「本格的にアニメを観出したきっかけがこいつだな」
「えぇ、ある方に薦められて」
「いきなり京アニー?なんてぜいたくを」
「でも奇跡モノは嫌いじゃなかったか?」
「時間軸の遡行もそれに伴うパラドックスも好きじゃないですしね。<肉体こそが魂だ>の京極スキーですし。」
「じゃあなんで」
「普段『がお』とか言ってる萌えっ子が一人になって初めて我慢を止めて泣きじゃくる辺りで、やられたって言ってたよ」
「苦痛を堪えてるコトに共感しちゃったんですかね」
「馬鹿だな」
「ですね」
「ね」


アクエリオン
「いちまんねーんとにせんねんまえから」
「これは名前と歌だけ知ってたのをちゃんと観たんだったな」
「あーいしーてーるうー」
「えぇ、司令の前フリからの回答が毎回楽しかったと」
「はっせんねんすぎたーころかーら」
「物理的にはトンデモだけどな」
「もおっとこいしーくなーぁったぁー」
「ところでお前は何で歌ってるんだ」
「ぎょうすうかせぎー」
「あぁ。もう、当時思ってたこと忘れちゃってるんですね」


BLACK LAGOON
「こういう救いの無い話を良く観てるな」
「いやほんとは、最終的に救いのあるオチを期待して見続けてるらしいんですがね」
「チキンだもんね」
「まったくだ」
「フォローしとくと、AIRみたいな<来世で救われる>系のオチは好きじゃないらしいですよ。『ヒトはいまこの生きてる現在が全てだ』と信じてる人なんで。最初にAIRを観たんでそれを埋めようとしてるぽいです」
「めんどくさいヤツー」
「まったくだ」


○Elfen Lied
「同上の救いの無い話の一つだが…」
「でも元々、何かを背負わされた異形モノが好きらしいです」
「歪んでないか」
「ちょっと待っておっちゃん」
「オニイサンだってのに。で、なんだ」
「そろそろ自虐オチがしつこいの」
「それもそうだな」
「でもこれもある意味自虐オチなんじゃ…」
「しーっ」


Gunslinger Girl
「イチオシだな」
「でも二期が」
「元々は『また戦う少女モノか』って小馬鹿にしてたっぽいですが」
「うんだからね二期がねまさにそのね」
「一話で速攻やられてたな」
「ある意味二期の一話でもやられて」
「いやー原作買いそうですよね」
「そうだねあの二期じゃ」
「だよなー。はっはっは」
「…なかったことにはならないんだよ二期」
「言うな」
「そうですよ非常識な」


灰羽連盟
「この手の静かな感じのモノも好きだよな。ガンスリもそういうとこあるし」
「ですよね。僕も好きですよ」
「これはあたしも好きだなー」
「お?またお前のことだから『枯れてるから』だの『おっさん趣味』だの言うかと思ったんだが」
「『テメェのケツはテメェで拭く』って世界観がいいよね」
「だからその言葉遣いなんとかしろよお前は」


○どくろちゃん・大魔法峠
「この笑いのセンスはなんなんだろうな」
「普通サブミッションまでは出しても肉体言語なんて単語出てこないですよね」
「そういえばあたしも魔法少女だったようなそこはかとない記憶が」
「ねーよ」
「話し方以上の設定なんて考えてある訳ないでしょうあの人が」
「そうかなぁ」
「大体、理屈の通らない物語上の便利すぎる魔法とか奇跡は嫌いな人ですし」
「こういうギャグなら許容するのにね」
「待て待てお前ら。それは次項で話す」


○地球へ
「超能力モノも好きなんだよな」
「その割には<幻魔大戦>や<AKIRA>と言ったメジャーなとこを読んでないみたいですけどね」
「そこだ。超能力にしろ魔法にしろ奇跡にしろ未来的な科学にしろ、納得できる<ウソ>が設定されてないと気持ち悪がるんだアイツは」
「ウソはあっていいんだ?」
「そりゃフィクションだってわかってますからね。ただ、例えば『テレポート』にしろ『時間遡行』にしろ、質量保存の法則はどうなってるのかを気にしたりします」
「質量保存の法則を破ってたらアウトなのか?」
「いえ、そうではなくて、質量保存の法則のある世界なのかない世界なのかを明らかにしておけと」
「質量保存の法則がある世界なら『テレポート』と『時間遡行』はどうなるの?」
「僕も専門に学んだわけではないですが、テレポートだと出発点に唐突に<質量の無い空間>が出来、到達点では<質量ある物質>が重複してしまう訳です」
「えっと…?」
「<ウィザードリィ>の『いしのなかにいる』です」
「あぁ、わかった」
「わかるのかよ。出発点の方はそうだな…ほぼ真空の空間が出来るから大気中でやったらカマイタチぐらいは起きそうだな。到達点の方は…」
「最悪、核融合です」
「だよな。もし分子がぶつからない仕様だとしても人体と大気の原子が入り乱れて死にそうだな」
「えぇ。光子サイズぐらいなら大丈夫でしょうが。で、その辺をウソでいいからクリアしておいて欲しいらしくて。例えば<転移>ではなく、自分と原子ひとつも寸分違わない形で<空間を交換する>とか」
「なるほど。そしてそれを可能にするのが、超能力、と」
「『時間遡行』の方はもっと単純で、<現在の質量>が過去に行くことで、<過去>の方は確実に宇宙に人一人分の質量が増えてしまうわけです。<現在>の方はその人を形づくり成長させてきた動植物や水まで含めて宇宙に還元し直すとしても、<過去>に体を存在させようとするとそこでパラドックスが生まれてしまうわけで」
「漫画や何かみたいに<事件>を起こさなくとも、<過去に人一人増える>だけでパラドックスを現出させてしまうか」
「で、それを現実の物理法則に則った現存する仮説で説明してもいいですし、フィクションとしてのウソで説明してもいい。ただ『超能力だから』で曖昧にされるのが釈然としないようです」
「ところでさっきからお前は黙って何をやってるんだ」
「ここまでこんなつまんないへ理屈を読んでくれた奇特な方々にお礼の一つでもしなければならないかなとその準備を」
「奇特とかいうな。だが感謝に関してはその通りだ。で、何をやるんだ」
「おっちゃんのセミヌードでも描いて配ろうかと」
「やめれ。俺のためだけでなく読者のために」


○休憩
「こんなアニメ観たか?というかあったか?」
「いえいえ。あまりに眠いらしいので休憩したいそうです」
「根性なしー」
「だな」
「えぇ」