GUN×SWORD

ラストのネタバレ含みまくってるので注意です。



二日間で全26話みるという暴挙に出てしまいました。
で、それほど面白かったのかといわれると、うーん…


娯楽作品としては面白いと思うんです。半端無く。
前半の旅モノとしての部分も後半のカギ爪の計画阻止部分も。
ヴァンとウェンディという主役2人が何かを乗り越えていくところも押さえてますし。
ハードボイルド調にコメディを絡めた作風だったのが、16話のヴァンによる「ゾッコンだ」発言で『あぁこれはバカで熱血でもあるのか』と思える表現は素晴らしかった。


カギ爪の思想が、単に独善的で個人の思想であるということ、感化させて広めていくのではなく強制的に押し付けようとするのが悪いところ、<みんな>が望んでいる訳ではなく飽くまでその集団という<一部>しか望んでなどいない、というのもしっかり作品内で指摘していますし。



でもですね、ヴァンはあれでよかったんでしょうか?
結局復讐を果すまで彼は止まれませんでした。過去を受け止め乗り越えることが出来ませんでした。
ウェンディはそれができ、ヴァンにも旅の中で変わっていったところがあり、「ゾッコンだ」発言もあったにも関わらず、です。


レイの件も問題です。
「命を取るか夢を取るか選べ」
彼も結局復讐を成し遂げました。カギ爪に<夢を失う痛み>を与えて。稼げたのは47分だけでしたが、弟ジョシュアがそれを引き継ぎ、<夢を失わせる>ことを完遂させました。
でも、それでもカギ爪には大して効いていなかった。
「『今回は』だめだった。けどまた最初からやろう」と夢が続いていた。


そう。カギ爪もまた<止まれなかった>。
死病に冒されながらも、他人の夢を食い潰しながらも、自分の夢を叶える事しか考えられなくなっていた。


だから終盤ウェンディは空気にならざるを得ないんです。
兄から自立して、袂を別つだけの役割しか演じられない。



結局はヴァン、レイ、カギ爪の3人が自分達の<夢>という我執をぶつけ合うだけの話にしかなっていないんですね。


カギ爪の<夢>はレイに完全に止められるべきだった。
そして<夢を失う痛み>をちゃんと<知る>もしくは<思い出す>べきだった。
自分の間違いに気付くべきだった。


レイは自分がカギ爪と同じことを双子にしてしまったことを生きて後悔し続けるべきだった。
自分の受けた<痛み>を、自分も振りまいてきたことを償うべきだった。


主人公たるヴァンはそれらを踏まえて、もう一人の主人公たるウェンディの助力を受けるなり感化されるなりして、ただ感情をぶつけて殺すのではなく、なんらかの<答え>を出した上で、復讐とは別の理由でカギ爪を止めるべきだった。それが結局殺すことであったとしても。


<復讐を果す>ことでしか前に進めないままではなく、<復讐を果す前に自力で進む>べきではなかったのか、そう思ってしまいます。
ハッピーエンドで終わるエンターテインメントであるのなら。



テーマへのケリの付け方だけに不満が残る感じです。
ラストシーンなんかは大好きですよ。